生まれた時からクロスだから、数十年後がわかる世代

[記事更新日]2017/06/29

リノベーション前

↑どんなに綺麗に使っていても、黒ずむクロス

基本的にモノや、コトなど、何でも手に入る今の時代。本当に良いモノが少ない。売れるためだけの付加価値を付け、ものの良さを置き去りにされてしまった、いわゆる「製品」がたくさん市場にはあります。そう、見せかけのブランドに気付きはじめた人が増えているのです。

ものの本質を見極めて、本当に必要なものだけをていねいに選んでいったときに、私たちはブランドではなく、本物の素材が持つ価値に気付きます。それを裏付けるかのように、価格で選ぶのではなく、安全でおいしい食べ物を求める人たちが増えてきました。オーガニック食材はこの10数年で一気に知られ、一般的になり、街のスーパーでさえ日常的に扱われるようになり、オーガニック食材の専門店さえよく見かけるようになりました。

目次-contents-

衣食住の中で、住が一番遅れている?

オーガニック食材

↑オーガニックのにんじん食べたことありますか?

先ほど述べましたが、食の分野では、着色されたお肉の問題や、科学物質、海外からきたものに対する不安もあり、オーガニック食材や地産地消など食の分野では自然素材を、その季節に、その採れた場所で食べることの大きな意味を感じて、行動されている方も多くいらっしゃいます。

衣の世界も、食と同様に、オーガニックやエコ、最近ではエシカルなんて言葉も定着しつつあるかもしれません。木綿のやわらかさ、シルクの肌触り、カシミアの機能性など、天然素材を身にまとう方も増えてきました。価格や、デザイン性だけでなく、天然素材だけを扱うアパレルブランドやファッションデザイナーも増えています。

では、肝心の「住」ということになりますが、食や衣の世界であるような、オーガニック食材は何に変わりますか?エシカルファッションはどんな家にかわりますか?

そうなのです。食と衣は自然素材がすでに一般的になっているのでイメージがしやすのですが、衣食住の「住」だけイメージしにくいのです。

今は高度成長期ではないのだ

大量消費

↑工場で、大量生産されている姿を見たら、ひくかも

もう何十年前でしょうか?高度経済成長期に私たちは利便性や合理性を求めました。食事には管理され大量生産した食材を、衣服には合成繊維、住宅には化学物質からつくられた建材を開発し、使われました。私たちの生活の基本の衣食住から、自然素材が消えていった時代とも言えるのかもしれません。

ところが最近、生まれた時から周囲にものがあふれ、高度経済成長期を知らず、豊かな時代に育った若い世代が、化学物質だらけの世の中に疑問を持ち始めました。高度経済成長を、日本を支えてきた素材を、衣食住から排除し、本当の、本質的な暮らしを求めはじめています。

その結果が、オーガニック食材や地産地消、エシカルな生活、ファーマーズキッチンなどの一過性のブームでなく定着してきていることにつながります。

住だって変わってきている

エシカルな生活

↑見ているだけでホッとするけど、機能も抜群です

この数年、住の世界も自然素材にスポットが当たってきています。まだまだオーガニック食材ほど定着してはいませんが、着実に増えています。家を買う世代はどの時代になってもあまり変化はないので、今まさに家を買う若い世代の本物志向が牽引力になって、市場も変わりつつあります。

漆喰の壁、土間、無垢材を用いた床など、島国日本の独特の高温多湿の気候に合わせて、夏は涼しく、冬は暖かく、心地の良く感じるように調湿してくれる素材。その素材を求めて、家探しをされるお客様が多くなってきました。

生まれた時からクロスだから、数十年後がわかる世代

おかえりなさい

↑ただいまって帰る実家を思い出す

先ほどから述べている若い世代、特に30代より若い世代は、ビニールクロスが壁に張られた家で生まれ育った方が多いのではないでしょうか。その世代が今、実家を見ると、白いビニールクロスが黄ばんでいたり、大掃除や模様替えの時にホコリだらけで真っ黒になっていたりということを経験している人もいるかもしれません。購入してから20年とか、30年経って、そろそろリフォームなんて考えているご実家を目の当たりにしているかもしれません。

ビニールクロスや合板フローリングの寿命は、使い方にもよりますが、10年から15年と言われています。こちらはまた別の機会詳しくご説明できればと思いますが、35年ローンを組んで、寿命が10年から15年だったら、頑張ってみても絶対1回はクロスの張替えをする計算になってしまいます。

もうすでに経験値的に気づいている方も多いのですが、仕上げ材に化学物質を使われた家はどうしても完成した時が最も良い状態なのです。

自然素材を使いますか?

↑自然素材を部分的に用いても良いと思う

今、食事にも、衣服にもこだわりがなくても、年齢を重ねたり、お子様の出産、成長の過程で自然志向や健康的な生活へシフトチェンジされる方もいらっしゃいます。食べる物や着る服は、住まう家よりも比較的シフトを変えやすいものです。もちろん、オーガニック食品に移行しない方も多いですし、家に自然素材を使わないという選択もあると思います。ただ、家は数千万円するもの。簡単に家をシフトチェンジできる方は多くはないでしょう。人生に1回しか買えないからこそ、本気で自然素材を使うのか、使わないのかを一度考えてみてもよいかと思います。


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